株式会社もち吉様 | 全体最適化、データの一元管理を実現
段階的に構築してきた生産、物流、店舗の各システムを全面刷新。「BeAd」で全体最適化、データの一元管理を実現
もち吉は、前身の森田あられの時代、おせんべい、あられの米菓の製造卸業だったが、1989年、おいしさにこだわった米菓を直接消費者に届ける為に通信販売を開始。さらに1993年頃からは地域の人たちにも味のよさを知ってもらえるよう、独自店舗での販売に着手した。当初は福岡県中心だったが、その後、関西、関東と全国に店舗を拡大、2017年3月時点で全国225店を出店し、店舗を中心にした米菓の販売を行っている。マーケットの要望に応える商品を開発し、丹精を込めてつくった一品一品を自らの責任をもって自分たちの手で販売する、製造、販売、商品開発が三位一体となったビジネステンプレートを展開している。
データの一元管理実現とトレーサビリティの強化、 店舗管理業務の効率化が課題に
もち吉の事業は、商品開発、原料の調達、商品の製造、店舗への供給、販売と様々なプロセスから成り立っており、それぞれの役割を担う事業部門が存在する。卸、通販、店舗販売と事業を発展させてきた、もち吉では、通販システム、店舗システム、生産システムと各部門に最適化させた形で段階的にシステムを構築してきた。「その中でシステムは各部門の担当が管理しており、インフラの管理も事業部任せでした。その結果、セキュリティポリシーは統一されておらず、サーバーも物理サーバーのままでバラバラに運用されていました」と、もち吉の森田ジョナサン氏は振り返る。最大の問題は本社、物流センター、生産部門である森田あられ、店舗と別々のシステムで運用されているため、一元的なデータ管理が行えず、情報の鮮度が落ちてしまうことだった。
業務の流れと同じスピードで情報が入らず、欲しい情報をすぐに取り出すことができなかった。また元々、在庫管理システムはあったものの、商品の賞味期限や消費期限、日別の在庫管理までは行うことができなかったため、商品の製造から販売までを追跡できるようにするトレーサビリティ管理も必要になっていた。さらに、店舗を増やすたびに事務処理を行う人員が必要になり、本社の店舗事務部門での作業量も増加していた。加えて各店舗と本社とのやり取りは紙の書類に記入し、それをFAX送信していたため、通信費などのコストが膨らんでおり、その削減も差し迫った課題だった。
統合ERPソリューション「BeAd」導入で 事業部門横断でのデータの見える化をめざす
もち吉では、こうした課題を解決するために、システムの一元化を計画、NTTデータ九州の統合ERPソリューション「BeAdシリーズ」を導入することにした。「全社にまたがるトータルシステムの導入なので、もち吉の業務をよく理解しているベンダーでないと任せられません。その点、NTTデータ九州は店舗システムや物流システムなどの構築を手がけてきていて、業務を熟知しており、うってつけでした」(谷中氏)。 導入に先立って、もち吉ではインフラを整備し、店舗や拠点を結ぶネットワークを光VPNに切り替えた。そして、サーバーを仮想化して統合基盤を構築、全社レベルでセキュリティポリシーを策定した。「インフラもバラバラだったので、まずその統合を進めました。
その上に、BeAdはシステム基盤『Intra-mart』をベースにしているので、そこに販売、生産、物流、店舗管理などのアプリケーションを載せて、一元管理する仕組みを提案しました」とNTTデータ九州の井浪健一郎は語る。生産部門の森田あられは生産管理システムを構築し、実績管理も独自に行い、販売部門にはインターフェイスでデータを渡していた。そこでBeAdではトータルシステムで、販売側からも生産の状況が分かり、生産側からも販売の状況が分かるようにして、事業部門横断的にデータが見えるようにすることを目指した。「在庫の最適化では店舗に最適なタイミングで必要な商品を供給する自動発注の仕組みや、バックエンドでは生産現場への材料の効率的な供給のための実績の収集と活用などを中心に、構築していきました」とNTTデータ九州の中尾悟史は説明する。
データの一元管理で必要な情報の即時取り出しが可能になり、トレーサビリティも強化
BeAdは「スケジューラー」、「生産指示」、「生産実績」、「仕掛品材管理」、「購買管理」などの生産管理、「賞味期限管理」、「出荷管理」、「配送管理」などの物流管理、「店舗在庫管理」、「売上管理」 、「勤怠管理」、「顧客管理」などの店舗管理の各システムから構成され、本社と店舗で合計約1,400人が利用している。特に力を入れたのがトレーサビリティ管理で、原材料から製品の店舗への出荷までをひとつながりにして、先入れ先出し、賞味期限管理、監査などができるようになった。 以前は、店舗と本社がFAXを使った紙ベースでのやり取りをしていたが、Webシステムへの入力でオンライン上でのやり取りができるようになった。
それにより、店舗ごとの販売計画、在庫情報などからの自動発注、店舗従業員の出退勤管理、POSレジへのマスタ情報配信、店舗の損益管理などが可能になった。さらに、生産実績収集業務の統一化が実現し、工程、品目、基準日単位での実績管理と在庫管理が行えるようになった。 「トータルシステムになったので、リアルタイムで欲しい情報がいつでも取り出せるようになりました。何か問題が発生しても、システムにエビデンスがあるので、ログを見ることで、原因を素早く突き止めることができます」(谷中氏)。 そして、インフラも刷新したことで、システムの安定稼働が保障されるようになった。「以前はサーバーが不安定なことがあり、ダウンタイムも発生していました。仮想サーバーに統合したことで、ダウンタイムはほぼゼロになり、システムを空気や水のように使える環境が実現しました」(森田氏)。
デジタル化による従業員の負担軽減と海外でも利用可能なシステムへの進化を図る
BeAdは現在、順調に稼働しているが、もち吉では今後、システムの利用を定着させ、ユーザーがBeAdを使うことで業務が楽になった、便利になったという声がさらに大きくなるようにしたいと考えている。その上で、スマートホンなどのモバイルデバイスの利用などデジタル化によって、店舗従業員の負担を減らし、トータルシステムの利活用レベルを上げていく構想だ。「グローバル化が進んでいるので、海外でも利用できるようにシステムを進化させていきたいです。またNTTデータにはこれからもユーザーとベンダーという垣根を越えて、一緒にやっていってほしいと思います」と森田氏は抱負を語る。
株式会社もち吉様
「米よし、水よし、技もよし」という企業理念のもと、米菓づくりの伝統を守って、本物の商品を消費者に届けるために、事業を展開。全国に展開する店舗はすべて直営店で地域の人々から愛される店舗作りを進めるとともに、本社が所在する福岡県直方市の地域振興にも積極的に取り組む。本社の隣接地に「もちだんご村」を開設し、チューリップ畑やランドマークとなる三連水車を建設、食事処「水車茶屋」もオープンさせた。2020年には新米菓工場を竣工させ、もちだんご村をテーマパークのようにする計画だ。
所在地 | 福岡県直方市下境2400番地字餅米もちだんご村餅乃神社前 |
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設立 | 昭和58(1983)年3月 |
資本金 | 1億円 |
事業内容 | 米菓の製造と販売(直営店・通信販売)。うるち米を主原料とする「せんべい」、もち米を主原料とする「あられ」等の米菓及び豆腐・生菓子の製造販売、飲料水(ペットボトル・バックインボックス)の販売及び店舗での給水販売、お米(自社精米)や酒類(乙類焼酎)などの販売。 |
URL | https://www.mochikichi.co.jp/ |